胎児からメタボに?!
下の図①をご覧ください。1980年代をピークに、赤ちゃんの体重が年々減り続けている事実をご存知でしょうか?
30年前と比べ、日本の赤ちゃんの平均出生体重が200gも減っています。
赤ちゃんが年々小さくなった結果、「低出生体重児」と呼ばれる2500g未満の赤ちゃんの割合も年々増加しています(図②参照)。2010年度に生まれた早産でない赤ちゃんのうち、約4%が低出生体重児だったというデータもあります。
これは30年前と比べ、高齢出産・多胎児・(非常に小さい)極低出生体重児などいずれも増えていることが一因ですが、妊婦さんで体型の変化を気にして体重を増やさないか、また体重は増えても必要な栄養が足りない「妊娠女性の低栄養化現象」が深刻になっていることも原因です。
お母さんの栄養が足りていないために小さく生まれる赤ちゃんが増えているのです。怖いことに胎児のときに低栄養下で育った低体重の子は、成人してからメタボリック・シンドロームなど生活習慣病を発症しやすくなるといった報告もあります。
このため出産の現場では正しい栄養指導が急務であり、かつての厳格な体重増加制限ではなく、バランスよく食べて体を作る適切な体重管理が求められます。
やせすぎは低体重児だけでなく切迫流産や切迫早産、逆に太りすぎは前期破水・妊娠高血圧症候群・巨大児分娩・帝王切開・分娩時の出血量過多・羊水混濁・胎児心拍数異常などのトラブルを引き起こします。
仕事で忙しい妊婦さんも、本サイトの情報を参考に、少しずつでもご自身が摂る毎日の栄養にぜひ注目してみてください。
※図①・②出展:厚生労働省「人口動態調査」